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3月9日 演劇公演「親父の音魂」


台本の第一稿を読ませていただいたのが、去年の11月。
演劇の先生・工藤慶悦さんが、長信田太鼓を描いた脚本を書いてくれたのです。
工藤先生が長信田の森の演劇を手掛けて4年目。
還暦を過ぎて、なお、若者たちから感じたり学んだりすることのできる、本当に純粋で柔らかい心を持った方です。
そして、いつも「この子たちは何も変じゃない。世の中が変なんだ!」とおっしゃっていたように、
「この子たちの力を世に知らしめたい」という思いで、書いてくださったんだと思います。
第1回の演劇公演から、一回一回全力投球で成功をおさめてきて、年々プレッシャーも大きくなってきていましたが、 4回目にして、ついに工藤先生自らオリジナルの作品にチャレンジしてくださったのです。




  感動MAXのフィナーレの太鼓演奏!
工藤先生は、長信田の森にいる子どもたちの「明るさ」や「普通さ」を伝えたいと、笑いや真剣さもちりばめて、日常の私たちの姿を表現してくれていました。
劇中に太鼓演奏もたくさん組み込まれていて、エネルギッシュな長信田太鼓の等身大の姿を出しつくせる作品となりました。

それから、キャストを決め、初稽古に入ったのが、新年あけてすぐの1月6日でした。
太鼓ではすごい表現を見せてくれる若者たちですが、演劇となったら、もう大変!!(笑)
滑舌は悪く、声は小さくて通らない。抑揚も乏しくて、まるで棒読み。表情は固まってるしで、これはどうなってしまうんだ!?と茫然としました。(笑)
でも、まあ、過去3回だって似たようなものだったし、2カ月の特訓で何とかなるだろうという気持ちもありました。
なんせ、普段長信田太鼓で鍛えられている若者たち。「自分を変えたい」向上心は並外れて高い集団です。




  涙、涙のカーテンコール
今回は10代がけっこう多かったんです。 人生経験もまだまだ乏しいし、演じる時に、その人物の思い・背景をどう理解し、どう表現するか、となったときに、わからないことも多いんです。
でも、とことん話し合い、指摘し合い、秘密の特訓を積んだりして、日に日にめきめきと上達していきました。
特に、親が余命3か月という重い試練を負わされた仲間の「親父の生きざまを見届けてやりたいんだ!」という絞り出すような告白を、女の子が受け止めるという場面。
これは、本当にしんどかった。
練習中、何度泣いたかしれません。
本番も泣いてました。でも、立派にやり切りました!
本当に感動しました。

主役の子も10代。
長信田太鼓でもリーダーを務める彼は、毎日声をからして練習しました。
監督から指導されたことを、部屋に帰ってからもじっくり考え、飲み込んで、自分のものにしていきました。
2カ月で本当に上手になった。
彼の太鼓表現もそうだけれど、本当に熱く、強い。
自分を生きたい!という気持ちが、強く強く表現され、見る者の胸を打ちます。
最後の方には、ちゃんと自己主張もしていました。「僕はこう考えて、こう演じたいと思いました」と。
成長したなあー。立派です!!(涙)

普段、人の陰に隠れてしゃべらないS君、ミーティングでは緊張してうまくしゃべれないPちゃん、この二人の変化も皆を驚かせました。
最初は皆の足を引っ張りそうだった二人が、最後には、皆を支える名役者に変わっていました。
いい味出してくれたなあー。

太鼓のリーダー格役の二人は、最初からうまかったけど、皆と息を合わせ、やりとりがテンポよく流れるようにするために、皆をよく引っ張ってくれました。
けんかになって殴りかかる場面、最後のカーテンコールの場面、どれも感動的だった。

女の子たちが、一人一人はみんな対人関係に不安を抱えていたのだけれど、演劇終わってみたら、すごい仲良しになってたことも嬉しい驚きでした!
無理してしゃべらなきゃいけないと思ってたり(だから疲れちゃう)、休憩時間何喋ったらいいかわからなかくて緊張したり、人間関係は求めながらも苦痛なものだったんだろうけど、
演劇中は、そんなこと悩んでる暇もないほどそれぞれに向かうべき課題がありました。
皆で作っている充実感と、自分の役割を果たすことへの責任感が、不安よりも上回っていたと思います。
そして、気付いたら、無理なんかしなくても、自然と気持ちを共有し合えたり、励まし合えたりしていた。
こういう仲間を作っていけばいいんだって、頭で考えてても決してたどり着くことのなかった世界を体験したのだと思います。

そうそう、忘れてはいけないのが、父親役(水野淳一郎)の初太鼓披露ですね!!
リズムがうまく取れなくて、相当苦労していましたが、メンバーたちに相当仕込んでもらったみたいです。
本当の息子が教えてあげていた時などは、息子の方が「全く人の話を聞かねーんだもの、もう教えたくない!」とその頑固さにさじを投げていました。(笑)
それでも、肩が上がらなくなるほどの自主練習を積んで、ここまで仕上げてきました! エライ!
  当日は、多少のリズムのずれなどどうでもよく思えるくらい、鬼気迫る太鼓を披露してくれました!

そんなこんなの本番。
すごかった!
みんな初めから気持ちがビンビン入って、私も練習では泣いたこともないようなところで「うっ」ときてしまいました。
泣いてしまった自分が一番驚いた!(笑)
カーテンコールなんて、みんなもう、涙腺が壊れてしまって、ぐしゃぐしゃでした!!

太鼓は、最後、暴走機関車のようだったけど、それもやっぱり気持ちが入っていたからなんでしょう。
もう、めちゃくちゃにたたいて、叫んで、これまでの思いを爆発させました!
お客様たちからの反応もすごくて、玄関までの長いお見送りの列を、目を真っ赤にして「よかった!」「感動した!」と口々に伝えて行ってくださいました。
たくさんの人と固い握手をしました。
こんなにたくさんの人と、あのひと時、大きな感動を共有することができて、とても幸せでした。
こんな思いを、一生のうちに、何度できることでしょう。

本当に感謝でいっぱいです。
工藤先生、展楽座のみなさん、細井さん、見に来てくださった皆さん、遠くから励ましてくださった皆さん
そして、一緒に泣いて笑って、苦しみを一緒に乗り越えてきた仲間たち。
本当にありがとうございました!!

(京子)
 
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